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国会からの検査要請事項に関する報告(平成29年) | 国会からの検査要請事項に関する報告 | 検査結果 | 会計検査院 Board of Audit of Japan

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(1)

東日本大震災からの復興等に対する事業の実施状況等に関す

る会計検査の結果についての報告書(要旨)

(2)

1 検査の背景及び実施状況 (1) 参議院からの検査要請の内容

東日本大震災からの復興等に対する事業に関する次の各事項である。 ア 東日本大震災に伴う被災等の状況

イ 復興等の各種施策及び支援事業の実施状況 (2) これまでの会計検査の実施状況

東日本大震災の復旧・復興事業の実施に当たっては、東日本大震災復旧・復興関係 経費に係る予算(以下「復旧・復興予算」という。)が、23年度については一般会計 の補正予算において、24年度以降については東日本大震災復興特別会計(以下「復興 特会」という。)の24年度から27年度までの予算において措置されている。

前記の要請により、東日本大震災からの復興等に対する事業に関して、これまでに、 24年10月25日、25年10月31日、27年3月2日及び28年4月6日の4回、会計検査院長から参 議院議長に対して報告している。

会計検査院は、上記28年の報告において、東日本大震災復興基本法(平成23年法律 第76号。以下「復興基本法」という。)に基づき23年7月に定められた「東日本大震災 からの復興の基本方針」(以下「復興基本方針」という。)等で定められた27年度ま での集中復興期間が終了し、28年度から復興・創生期間として、復興は新たな段階を 迎えたことから、引き続き復興事業の実施状況等について検査を実施して、その結果 については、集中復興期間における復興事業の実施状況等の総括として取りまとめが 出来次第報告することとした。

(3) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

会計検査院は、合規性、効率性、有効性等の観点から、次のような点に着眼して検 査を実施した。

ア 東日本大震災に伴う被災の状況はどのようになっているか、避難者数はどのよう に推移しているか、国は、東日本大震災からの復旧・復興を推進するためにどのよ うな取組を行っているか。

(3)

はどのようになっているか。

ウ 復興関連基金事業(国庫補助金等を原資として設置造成又は積増し(以下「設置 造成等」という。)が行われる基金により復旧・復興事業として実施される事業。 以下同じ。)及び復興交付金事業(東日本大震災復興交付金(以下「復興交付金」 という。)を原資として基金の設置造成等を行うなどして実施される事業。以下同 じ。)において、使用見込みのない余剰金が基金に滞留するなどしていないか。ま た、補助事業等、復興関連基金事業、復興交付金事業等の復旧・復興事業について、 予算の執行は円滑かつ適切に行われているか。特に、復興関連基金事業や復興交付 金事業は、計画に照らして適時に実施されているか。

エ 被災地のうち津波等により甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島各県(以下「東 北3県」という。)において、集中復興期間中に実施された復旧・復興事業によりど のような成果が得られているか。特に、国民生活の安全・安心の確保の面から、津 波被害に対しては施設整備等のハード施策のみならず人命を重視した速やかな避難 を可能とするソフト施策により、災害に強い地域づくりが図られているか。復旧・ 復興予算により整備した災害公営住宅等への入居等の促進により、地域における暮 らしの再生が図られているか。各種産業に係る施設等の復旧・復興、資金繰り支援、 企業立地支援等の復旧・復興事業により、地域経済活動の再生が図られているか。 オ 原子力災害からの復興再生について、各府省庁、福島県等が実施する事業は円滑 かつ迅速に実施されているか。特に、除染等による放射能汚染対策、中間貯蔵施設 の建設に向けた取組等の福島の再生加速化に資する事業等は計画に照らして適時に 実施されているか。また、国から東京電力株式会社(28年4月1日以降は東京電力ホ ールディングス株式会社。以下「東京電力」という。)に対する求償は適切に行わ れているか。

(4)

町村に、特定被災区域をその区域とする市町が所在する北海道及び埼玉県を加えた11 道県及び227市町村(以下「特定被災自治体」という。)における被災状況、復旧・復 興事業等の実施状況等について検査した。特に東北3県及び管内127市町村に対して、 国からの財政支援を受けて実施した復興関連基金事業や復興交付金事業の実施状況、 成果等について検査した。また、株式会社日本政策金融公庫に対して、事業者等への 資金繰り支援の成果等の状況について検査した。

検査に当たっては、14府省庁等の内部部局等並びに東北3県を含む4県及び東北3県管 内の沿岸31市町村を含む4県管内の45市町村に対して270人日を要して会計実地検査を 行うなどして、調書及び関係資料を徴したり、担当者等から説明を聴取したりするな どして把握した内容等を基に調査分析を行った。

2 検査の結果

(1) 東日本大震災に伴う被災等の状況 ア 被害等の状況

(ア) 人的被害及び建物被害の状況

人的被害は死者15,893人、行方不明者2,556人等となっており、建物被害は全壊 121,739戸、半壊279,088戸等となっている。

(イ) 公共施設等の被災の状況

各府省庁が所管する公共施設等の被災の状況は、基盤整備関係では被災地区海 岸数677海岸、交通関係では道路(県及び市町村管理区間)における被災路線数6, 293路線、農林水産業関係では津波により被災した農地面積21,480㏊等となってい る。また、全壊等の被害を受けた施設は、医療施設4,158施設、福祉施設1,626施 設、学校施設等12,150施設等となっている。

(ウ) 避難の状況

29年2月13日現在の避難者数は、全国でなお123,168人に上っており、このうち 東北3県の各県内の避難者数は、計77,946人となっていて全体の63%を占めている。 イ 国の復旧・復興への取組

(ア) 復旧・復興に向けた主な取組

(5)

置付けられて、復興支援の体制、復興施策、事業規模、財源等に関する基本方針 が定められた。このうち復興支援の体制について、国は、24年2月に復興庁を設置 し、同庁に復興推進会議を設置した。復興施策については、住宅再建・復興まち づくりの加速化のためのタスクフォースの検討の下に、用地取得手続の迅速化、 技術者・技能者の確保、資材の円滑な確保等の加速化措置等を実施したり、産業 復興の推進に関するタスクフォースの検討の下に、26年6月に産業復興創造戦略を 策定したりなどした。

さらに、27年6月の第13回復興推進会議において、集中復興期間終了後の28年度 からの5年間が「復興・創生期間」と位置付けられて、復興基本法に基づき、28年 3月に「「復興・創生期間」における東日本大震災からの復興の基本方針」が定め られた。同方針では、原子力事故災害からの復興再生について、遅くとも29年3月 までに避難指示解除準備区域及び居住制限区域の避難指示を解除できるよう環境 整備に取り組むことなどとされた。

(イ) 原子力災害からの福島の復興再生に向けた主な取組 a 復旧・復興に向けた主な取組

24年3月に福島復興再生特別措置法(平成24年法律第25号)が施行され、国は、 同法に基づき福島復興再生基本方針を閣議決定して、住民の安全のための除染 等による放射能汚染対策を始めとする各種対策を計画的に講ずることとした。 除染等による放射能汚染対策について、「平成二十三年三月十一日に発生した 東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質 による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(平成23年法律第110号。以下 「放射性物質汚染対処特措法」という。)に基づき、環境省等は、放射性物質 により汚染された土壌等の除染等(以下「汚染土壌等の除染等」という。)、 放射性汚染廃棄物処理事業(以下「汚染廃棄物処理事業」という。)及び中間 貯蔵施設の整備等(以下、「中間貯蔵施設事業」といい、これらの3事業を合わ せて「特措法3事業」という。)を実施するなどしている。

b 帰還支援等に向けた取組

(6)

う。)を市町村等に対する委託事業としてそれぞれ創設した。そして、25年度 に長期避難者生活拠点形成交付金及び福島定住等緊急支援交付金をそれぞれ創 設した。さらに、25年8月の避難指示区域の見直しの完了を受けて、長期避難者 支援から早期帰還までを一括して支援する福島再生加速化交付金を創設して、 25年度に創設した2交付金により実施する事業及び帰還・再生事業の一部を移管 するなどして創設した「再生加速化事業」を国庫補助事業として実施すること とした。また、国は、27年5月に再生加速化事業を拡充して「帰還環境整備事 業」とした。さらに、帰還・再生事業と生活環境整備事業を合わせて福島生活 環境整備・帰還再生加速事業として再編し、福島再生加速化交付金事業の3事業 と同事業を福島の復興再生の柱として実施している。

(ウ) 復興財源フレーム

国は、復興期間10年間に係る事業規模と財源の見込みを32兆円程度の規模とす る32兆円フレームを示した。32兆円フレームでは、27年度までの集中復興期間に 係る事業費を25.5兆円程度、28年度からの復興・創生期間に係る事業費を6.5兆円 程度と見込んでいる。

(2) 復興等の各種施策及び支援事業の実施状況 ア 復旧・復興予算の執行状況等

(ア) 集中復興期間における復旧・復興事業に係る歳出予算とその執行状況 a 復旧・復興予算の歳出予算額及び執行状況

集中復興期間において各年度に措置された予算現額(歳出予算額(当初予算 額、補正予算額及び予算移替額の合計)に予備費使用額及び流用等増減額を加 減したものであり、前年度から繰り越された額は含まない。)の合計額33兆49 22億余円の27年度末現在における執行状況は、支出済歳出額(以下「支出済 額」という。)27兆6231億余円、翌年度繰越額1兆4111億余円、不用額4兆4579 億余円(うち27年度の執行における不用額5118億余円)であり、集中復興期間 5か年度全体の執行率(支出済額の予算現額に対する割合。以下同じ。)、繰越 率(繰越額の予算現額に対する割合)、不用率(不用額の予算現額に対する割 合)をみると、それぞれ82.4%、4.2%、13.3%となっている。

b 経費項目別の執行状況

(7)

と、「災害対応公共事業関係費」「施設費災害復旧費等」「公共事業等の追 加」及び「復興関係公共事業等」の4経費項目で計4兆0144億余円となっている。 また、特措法3事業の実施に係る経費項目については、「原子力災害復興関係経 費」2兆5087億余円となっていて、累計執行率は、他の経費項目と比べておおむ ね低くなっている。

(イ) 集中復興期間における復旧・復興事業に係る歳入の予算及び実績の状況 a 財源項目別の歳入の予算・決算

集中復興期間における復旧・復興事業の財源等の予算額及び決算額のそれぞ れの計は、予算額が33兆3261億余円、決算額が36兆7576億余円となっている。 b 復興債の発行及び償還の状況

集中復興期間における復興債の発行状況をみると、発行計画額計17兆3535億 円に対して発行実績額計14兆9932億余円となっている。25年度は復興債は発行 されず、26年度においても発行計画額1兆0970億円に対して発行実績額1199億余 円と計画の1割程度にとどまっている。27年度は発行計画額1兆9463億円に対し て発行実績額1兆3199億余円と計画の約7割となっている。また、復興債の年度 末現在額をみると、23年度末の11兆2574億余円から27年度末の7兆2612億余円に 減少している。

(ウ) 復興債の償還財源として位置付けられている株式の売却等の状況

集中復興期間における復興財源フレームでは、政府出資等の有価証券である日 本たばこ産業株式会社、東京地下鉄株式会社(以下「東京地下鉄」という。)及 び日本郵政株式会社(以下「日本郵政」という。)の株式の売却による収入が4. 7兆円程度見込まれているが、27年度末までの実績は計2兆4006億余円となってい る。今後確保すべきフレーム計上額は計2.3兆円程度であるのに対して、売却によ る収入は売却時点の株価に応じて決まることになるが、復興債の償還財源となる 日本郵政株式及び東京地下鉄株式の27年度末の残高は、計3兆2788億余円となって いる。

イ 国から財政支援等を受けて地方公共団体等が実施する復旧・復興事業の状況等 (ア) 特定被災自治体に対する国からの財政支援の状況

(8)

付されたものは計13兆4117億余円であり、このうち東北3県及び沿岸31市町村に交 付されたものが計11兆4867億余円となっていて全体の85.6%を占めている。また、 国からの財政支援に係る類型ごとの交付額について、交付額の合計に占める割合 をみると、補助事業等が32.9%と最も高く、次いで地方負担に係る地方財政措置 としての震災復興特別交付税22.3%、復興交付金事業21.4%、復興関連基金事業 19.4%の順となっている。

(イ) 補助事業等の実施状況

集中復興期間における特定被災自治体に対する国庫補助金等の交付決定額は計 5兆7936億余円、国庫補助金等の交付決定額計から不用額計を控除した額に対する 実際の交付額計の割合(以下「補助事業執行率」という。)は88.4%となってい て、このうち津波等により甚大な被害を受けた東北3県及び管内127市町村への交 付決定額は計5兆3267億余円と、特定被災自治体に対する交付決定額の9割以上を 占めている。

特定被災自治体が実施している補助事業等について、事業区分ごとの実施状況 をみると、「災害廃棄物処理」及び「被災者支援」の補助事業執行率はそれぞれ 99.8%、100%と高くなっているが、「社会基盤施設」及び「漁業」の補助事業執 行率はそれぞれ79.1%、77.8%となっている。

(ウ) 復興関連基金事業の実施状況

a 集中復興期間における復興関連基金事業の実施状況

復興関連基金事業157事業の実施状況をみると、国庫補助金等交付額は計4兆 4483億余円、27年度末までの基金の取崩額は2兆7683億余円、国庫補助金等交付 額に対する取崩額の割合(以下「基金事業執行率」という。)は62.2%、27年 度末に保有している国庫補助金等相当額は1兆3746億余円となっている。 b 終了予定年度別及び終了予定年度の延長期間別の実施状況

(9)

c 復興関連基金事業に係る国庫補助金等の国庫への返納状況等

復興関連基金事業157事業のうち77事業において、各基金団体(国からの国庫 補助金等の交付を受けて基金を設置造成等した団体。以下同じ。)は27年度末 までに3064億余円、28年度(28年8月末現在)に323億余円、計3387億余円の基 金残額(運用益を含む。)を国庫に返納している。

d 集中復興期間内に事業が終了した復興関連基金事業のその後の状況

集中復興期間内に事業の終了期限が到来したり、国庫補助金等交付額の全額 を取り崩したりするなどして事業が終了した59事業について終了後の同種事業 の実施状況をみると、基金方式を採らずに実施していたもの(一般会計又は復 興特会以外の特別会計から交付された国庫補助金等によるものを含む。)は12 事業となっている。

(エ) 復興交付金事業の実施状況 a 復興交付金の交付等の状況

復興交付金事業について、集中復興期間において8道県及び96市町村に復興交 付金2兆8720億余円が交付されていて、このうち約9割に当たる7県及び88市町村 が基金を設置造成等してこれを取り崩して実施する事業(以下「基金型事業」 という。)を選択していて、23年度から27年度までの5か年度の実施計画分に係 る交付額は計2兆6415億余円、取崩額は計1兆6326億余円、基金事業執行率は61. 8%となっている。

b 集中復興期間における復興交付金事業の完了等の状況

集中復興期間内に復興交付金事業計画に記載された復興交付金事業を全て完 了している特定被災自治体数は3道県及び30市町村であり、復興交付金の交付を 受けて事業を実施している全ての特定被災自治体8道県及び96市町村の31.7%と なっている。27年度末現在において実施中である復興地域づくりに不可欠な基 盤を整備することを目的とする40の基幹事業1,612事業のうち当初の復興交付金 事業計画において完了予定時期を27年度末以前としていた1,297事業を対象に延 長期間の状況をみると、3年以上延長している事業は479事業となっていて、5年 以上延長している事業も134事業ある状況となっている。

c 集中復興期間における基金型事業の実施状況

(10)

せるために必要な事業(以下「効果促進事業」という。)があり、効果促進事 業をあらかじめ事業内容を定めて基幹事業ごとに個別に事業費が配分されるも の(以下「効果促進事業(個別配分)」という。)及びあらかじめ事業内容を 定めることなく特定の基幹事業に係る事業費の一定割合を一括して先渡しで配 分されるもの(以下「効果促進事業(一括配分)」という。)の別にみると、 基金事業執行率はそれぞれ64.8%、67.9%及び31.2%、取崩しが行われずに基 金に保有されている額(以下「取崩未済額」という。)はそれぞれ8158億余円、 226億余円、1669億余円となっており、特に効果促進事業(一括配分)の基金事 業執行率が低くなっている。

効果促進事業(一括配分)は、24年度から27年度までの4か年度の実施計画分 に係る交付額計2429億余円のうち事業内容が未定の交付額が1099億余円あり、 このうち計8億余円が事業内容の全てが未定となっている。また、上記の1099億 余円の約2割の206億余円は交付されてから3年以上にわたり事業内容が未定のま まとなっている。さらに、事業内容が決定していても実際には執行されていな い状況も見受けられる。

(オ) 福島再生加速化交付金事業の実施状況

(11)

り実施していて、交付額計247億余円、執行額計219億余円となっている。さらに、 福島県及び7市町村は基金型事業により実施していて、25年度から27年度までの3 か年度分に係る交付額計55億余円、取崩額計19億余円、基金事業執行率35.8%と なっている。

(カ) 震災復興特別交付税に係る経費の執行状況

集中復興期間の交付税及び譲与税配付金特別会計における震災復興特別交付税 に係る経費の執行状況をみると、累計繰入額3兆7642億余円に対する累計支出済額 は3兆1884億余円(累計の執行率84.7%)となっている。

(キ) 国からの財政支援等による地方公共団体の財政への影響

集中復興期間における東北3県及び沿岸31市町村の普通会計に係る歳入歳出決算 の状況についてみると、東北3県の歳入総額は、22年度の2兆4460億余円から、23 年度に5兆6113億余円と大幅に増加した後、24年度から26年度までは減少が続き、 27年度に微増に転じて4兆6037億余円と推移しており、23年度から27年度までの期 間平均の対22年度比は200.8%となっている。沿岸31市町村の歳入総額は、22年度 の9619億余円から、23年度1兆8428億余円、24年度3兆0304億余円と増加した後、 25年度以降は減少が続いて、27年度2兆3574億余円と推移しており、同期間平均の 対22年度比は256.6%となっている。

東北3県の歳出総額は、22年度の2兆3321億余円から、23年度に5兆2862億余円と 大幅に増加した後、24年度から26年度までは減少が続き、27年度に微増に転じて 4兆2447億余円と推移しており、23年度から27年度までの期間平均の対22年度比は 193.8%となっている。沿岸31市町村の歳出総額は、22年度の9250億余円から、2 3年度1兆7214億余円、24年度2兆8117億余円と増加した後、25年度以降は減少が続 いて、27年度2兆0814億余円と推移しており、同期間平均の対22年度比は242.0% となっている。

22年度から27年度までの各年度末現在における基金の状況をみると、東北3県及 び沿岸31市町村の積立金現在額は、22年度がそれぞれ2974億余円、1897億余円で あったのに対して、25年度にそれぞれ1兆6859億余円、1兆5617億余円に達してい る。

(12)

平成23年度一般会計補正予算(第3号)(以下「23年度第3次補正予算」とい う。)に計上された費用のうち国会の議決を受けた復興施策に要する費用(以 下「復興費用」という。)に関する権利義務は、特別会計に関する法律の一部 を改正する法律(平成24年法律第15号)附則第3条の規定に基づき、翌年度以降 に繰り越して使用することとされたものを除き、復興特会に帰属することとな っているため、23年度第3次補正予算に復興費用として計上されて23年度内に交 付された国庫補助金等について、使用する見込みのないなどの額を国庫に返納 させる場合、国は、復興特会に返納させることとなる。しかし、国土交通省に おいて、使用する見込みのない額83億8631万余円を誤って復興特会ではなく一 般会計に返納させている事態が見受けられた。

一方、平成23年度一般会計補正予算(第1号)又は平成23年度一般会計補正予 算(第2号)に計上された費用等のうち使用する見込みのないなどの額について、 復興基本法、「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な 財源の確保に関する特別措置法」(平成23年法律第117号)等で定める財源確保 の趣旨から、国はこれまで、一般会計に返納させた後、その額を復興特会に繰 り入れて復旧・復興事業の費用等の財源に充てられるように、その原因となっ た支出を把握するなどして復興税外収入として別途整理するなどの所要の措置 を執ってきている。しかし、この措置が執られていない事態が、文部科学省 (286万余円)及び農林水産省(42億5030万余円)で計42億5317万余円見受けら れた。

b 復興交付金事業

(13)

れている事態が、2市分で計15億9946万余円見受けられた。 ウ 集中復興期間における復旧・復興事業の成果の状況

(ア) 施策項目別の成果の状況

東北3県及び沿岸31市町村における25の施策項目の公共土木施設災害復旧事業費 国庫負担法(昭和26年法律第97号)等に基づく災害復旧事業に係る計画や復興交 付金事業計画等における整備計画施設等数(以下「計画施設数」という。)に係 る事業費(以下「計画事業費」という。)は、27年度末現在、計7兆2786億余円で あり、これに対する完成している施設等数(以下「完成施設数」という。)に係 る事業費(以下「完成分事業費」という。)は計2兆2452億余円(うち国庫補助金 等計1兆8433億余円)となっている。施策項目別の計画施設数に対する完成施設数 の割合(以下「完成率」という。)をみると、100%は「鉄道」「空港」「公営住 宅」及び「養殖施設」の4項目であり、80%以上が「港湾」「造成宅地の滑動崩落 防止」等の9項目、20%以下が「海岸(防潮堤)」(防潮堤の新設、改修等を計画 し又は実施している海岸の整備)「海岸防災林」「上水道」及び「都市再生区画 整理事業」の4項目である。20%以下の4項目は、津波により破壊され、流出した 海岸保全施設、その背後地の市街地等の整備に関する施策項目となっている。 (イ) 津波防災に関する施策における復旧・復興事業の成果

a 津波防災に関するハード施策に係る復旧・復興事業の状況

防潮堤の整備に係る復旧・復興事業は、27年度末現在、沿岸31市町村に福島 県の沿岸5市町を加えた36市町村に所在する576海岸において事業が計画されて おり、このうち集中復興期間における完成施設数は87海岸、完成率は15.1%と なっている。計画事業費1兆3433億余円のうち27年度末までに投じられた事業費 (以下「支出済事業費」という。)は4605億余円、計画事業費に対する支出済 事業費の割合は34.2%、完成分事業費は332億余円(うち国庫補助金等302億余 円)となっている。

(14)

潮堤はない。

27年度末までに事業を実施している556海岸について、26年度末現在と27年度 末現在の計画事業費を比較すると、増加したものが184海岸、減少したものが1 23海岸となっている。また、556海岸から27年度末現在までに完成した87海岸を 除く469海岸の完成(予定)年度をみると、26年度末現在の見込みより延長され たものが299海岸と約6割を占め、このうち7海岸は3か年度以上延長されている。 b 津波防災まちづくりに係る復旧・復興事業の状況

被災市街地復興土地区画整理事業(以下「復興土地区画整理事業」とい う。)及び津波復興拠点整備事業による市街地の整備状況をみると、復興土地 区画整理事業では計画面積1,532ha、実績面積319㏊、整備率20.8%となってお り、津波復興拠点整備事業では計画面積260ha、実績面積145ha、整備率55.7% となっている。また、両事業のかさ上げに係る計画面積及び実績面積は、それ ぞれ761㏊のうち169㏊、143㏊のうち90㏊であり、整備率はそれぞれ22.3%、6 2.9%となっている。

市町村別に全体の整備状況をみると、復興土地区画整理事業について、20市 町村のうち整備が完了したものが1村、整備率が80%を超えているものが1町、 整備率が20%以下のものが10市町となっている。津波復興拠点整備事業につい ては、整備を実施している16市町のうち整備が完了したものが4市町、整備率が 80%を超えているものが1市、整備率が20%以下のものが4市となっている。 c 津波防災に関するソフト施策に係る復旧・復興事業の状況

沿岸31市町村の住民等の生命及び身体の安全を確保するための避難対策につ いて定めた計画(以下「津波避難計画」という。)の策定状況をみると、27年 度末現在、津波避難計画を策定しているのは21市町村で、このうち、東日本大 震災前に津波避難計画を策定していたのは5市町となっており、16市町村は東日 本大震災後に策定している。

(15)

強化が27市町村、Jアラートによる自動起動対象の拡大が28市町村、緊急速報 (注1)

メールの一括送信が29市町村、防災行政無線の整備のうち同報系システムが全 (注2) ての市町村、移動系システムが24市町村、難聴区域の解消が21市町村となって

(注3) いる。

沿岸31市町村における避難施設の指定の状況をみると、全ての市町村が避難 所、緊急避難場所等の避難施設を指定しており、27年度末現在の指定数は、2, 313施設となっていて、東日本大震災前の2,266施設から47施設増加している。 しかし、東北地方太平洋沖地震による津波で浸水した地域に所在する避難施設 が緊急避難場所で49施設、避難所で56施設、耐震性の有無を把握していない避 難施設が津波避難ビルで4施設、避難所で168施設となっている。また、住民等 が避難施設に移動するための誘導標識等が設置されていないものが緊急避難場 所で684施設、津波避難ビルで11施設、避難所で630施設となっている。

避難所等の装備の状況をみると、非常用電源が備えられていない避難施設が 津波避難ビルで25施設、避難所で497施設、ラジオ等の情報機器がない避難施設 が津波避難ビルで62施設、避難所で369施設、備蓄倉庫がない施設が津波避難ビ ルで56施設、避難所で485施設となっている。備蓄倉庫が設置されている避難所 460施設について、避難者を支援するための備蓄物資の状況をみると、27年度末 現在、食事の供与が全くできないものが145施設あり、1日以下が255施設、1日 超3日以下が52施設等となっている。また、毛布が不足するものが349施設、非 常用電源がないため停電時に照明等の電気製品が使えないものが48施設、石油 ストーブが備蓄されていないため暖房を使えないものが234施設となっている。 (注1) Jアラート 全国瞬時警報システム。弾道ミサイル情報、大津波警報、 緊急地震速報等の緊急情報を人工衛星を用いて国(内閣官房、気象庁 から消防庁を経由)から送信し、市町村の防災行政無線や携帯メール、 コミュニティFM等を自動起動させるもので、国から住民まで緊急情 報を瞬時に伝達するシステム

(注2) 同報系システム 屋外拡声器や戸別受信機を介して、市町村等から住民 等に対して直接・同時に防災情報や行政情報を伝えるシステム (注3) 移動系システム 車載型や携帯型の移動局と市町村、消防、警察等の関

係機関相互に通信を行うシステム (ウ) 住宅の供給等に関する復旧・復興事業の成果

a 被災者等に対する応急仮設住宅の供与

(16)

計52,822戸)及び市町村が民間住宅を借り上げるなどして被災者等に供与する 応急仮設住宅である借上型応急仮設住宅(借上戸数計24,856戸)について、集 中復興期間における整備費、維持管理費等をみると、建設型応急仮設住宅の整 備費は計3370億余円、維持管理費は計574億余円、撤去費は計14億余円、借上型 応急仮設住宅の維持管理費は計1449億余円となっている。建設型応急仮設住宅 に係る維持管理費について、集中復興期間における年度別の状況をみると、震 災直後の23年度が344億余円とピークとなっており、24年度以降、建設型応急仮 設住宅の統廃合や廃止の進捗により減少傾向となっている。

b 恒久住宅等の整備に係る復旧・復興事業

災害公営住宅整備事業等は、東北3県及び沿岸31市町村のうち岩手、福島両県 及び30市町村のほか、その他の22市町村において実施されており、集中復興期 間における整備状況をみると、759地区における計画戸数29,575戸に対して16, 747戸が完成(完成率56.6%)し、整備が完了した地区に係る整備額は4383億余 円となっている。集中復興期間に整備された災害公営住宅の入居の状況等をみ ると、入居可能戸数15,617戸のうち14,754戸(94.4%)が入居済み又は入居手 続中であり、863戸(5.5%)が入居者未定で空室となっている。国土交通省は、 各事業主体が災害公営住宅を被災者等に提供するために様々な対策を講じたに もかかわらず入居者未定の空室が生じている場合、事業主体の判断により、災 害発生から3年を経過した後、一般向け公営住宅に変更し、被災者等以外に貸与 等を行うことはやむを得ないとの見解を示している。ただし、一般向け公営住 宅整備事業は、一般会計予算に計上された国庫補助金により実施される事業で あり、災害公営住宅整備事業等よりも補助率が低率となっている。

防災集団移転促進事業は、東北3県及び沿岸31市町村のうち22市町村のほか、 その他の4市町において実施されており、集中復興期間における整備状況をみる と、324地区における計画区画数の8,840区画に対して6,484区画が完成(完成率 73.3%)し、整備が完了した地区に係る整備額は1252億余円となっている。集 中復興期間に整備された宅地の分譲等の状況をみると、整備された宅地6,484区 画のうち5,775区画(89.0%)が分譲等済み又は分譲等手続中であり、709区画 (10.9%)が分譲等未定で空き区画となっている。

(17)

いて実施されており、集中復興期間における整備状況をみると、36地区におい て計画区画数500区画に対して276区画が完成(完成率55.2%)し、整備が完了 した地区に係る整備額は59億余円となっている。集中復興期間に整備された宅 地の分譲の状況をみると、整備された宅地276区画のうち257区画(93.1%)が 分譲済み又は分譲手続中であり、19区画(6.8%)が分譲未定で空き区画となっ ている。

都市再生区画整理事業は、東北3県及び沿岸31市町村のうち17市町村において 実施されており、集中復興期間における整備状況をみると、50地区における計 画区画数10,129区画に対して1,652区画が完成(完成率16.3%)し、整備が完了 した地区に係る整備額は59億余円となっている。

(エ) 地域経済活動の再生に関する復旧・復興事業の成果 a 各種産業に係る施設等の復旧・復興事業の状況

27年度末現在の東北3県における農水産業に係る施設等の復旧・復興の状況を みると、農地については計画施設数38,718㏊のうち32,703㏊が完成(完成率84. 4%)し、農業用施設については計画施設数4,838施設のうち3,914施設が完成 (完成率80.9%)している。また、漁港施設については計画施設数2,636施設の うち1,645施設が完成(完成率62.4%)し、水産業共同利用施設については計画 施設数4,922施設のうち4,637施設が完成(完成率94.2%)している。

グループ補助金(中小企業組合等共同施設等災害復旧費補助金)による事業 の実績をみると、27年度末現在、交付決定を受けた延べ8,937事業者のうち延べ 7,207事業者が事業を完了しているが、延べ202事業者が事業を廃止し又は取り 消しているほか、延べ1,528事業者が事業を延期するなどしている。また、東北 3県におけるリース補助事業(被災中小企業復興支援リース補助事業)の実績を みると、27年度末現在、集中復興期間に6,023件に対して35億余円が交付されて おり、このうち宮城県が4,361件、24億余円となっている。

b 農林漁業者、中小企業者等に対する資金繰り支援

(18)

例貸付が3442億余円、復興特別貸付が3兆8614億余円、計4兆2057億余円となっ ていて、復興特別貸付の規模が大きいものとなっている。東北3県における貸付 実績は、全国計4兆2057億余円のうち8914億余円であり、県別の計では、宮城県 が4836億余円、福島県が2490億余円、岩手県が1587億余円となっている。 c 企業立地支援による復旧・復興の状況

集中復興期間に、津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金(以下、 この補助金による事業を「津波・原子力災害立地補助事業」という。)2090億 円、地域経済産業復興立地推進事業費補助金(以下、この補助金による事業を 「ふくしま立地支援事業」という。)2102億余円がそれぞれ国から基金団体に 交付されており、27年度末現在の基金の取崩額は、津波・原子力災害立地補助 事業に係る基金が111億余円(基金事業執行率5.3%)、ふくしま立地支援事業 に係る基金が1301億余円(基金事業執行率61.9%)となっている。

集中復興期間の採択、交付決定等の状況をみると、27年度末現在、津波・原 子力災害立地補助事業は、採択件数512件、採択額1997億余円、交付決定件数2 00件、交付決定額868億余円となっていて、企業が立地される市町村数及び新規 地元雇用者数のそれぞれの見込みは、69市町村、6,359人となっている。また、 ふくしま立地支援事業は、採択件数446件、採択額3142億余円、交付決定件数3 38件、交付決定額1300億余円となっていて、企業が立地される市町村数及び新 規地元雇用者数のそれぞれの見込みは、福島県の管内47市町村、4,394人となっ ている。両事業を合わせた採択事業者数、完了事業者数、辞退事業者数の状況 をみると、採択事業者数は958事業者、完了事業者は407事業者、完了率は42.4 %となっている一方で、辞退事業者数は232事業者、辞退率は24.2%となってい る。

d 観光の復興状況

(19)

在で実施されている観光イベントは、震災の影響がなかったもの24件、再開さ れたもの31件及び定期的に実施されている新しいもの29件を合わせて84件とな っている。また、集客数については、25年度が約764万人、27年度が約829万人 となっていて、25年度から27年度までの3か年度の間で20市町村において集客数 が増加したとしている。

e 産業の回復の状況

産業の回復の状況に関する沿岸31市町村の認識についてみたところ、全体的 に回復したとしている市町村数は、沿岸31市町村のうち21市町村となっている。 業種ごとにみると、震災前の水準に回復したとする市町村数は、建設業では19 市町村、観光業では16市町村と沿岸31市町村の半数以上を占めるが、農業、水 産業ではそれぞれ8市町村、商業・サービス業では7市町となっている。また、 震災前の水準に回復していないとする市町村数は、水産業では19市町村、農業 では18市町村となっている。

エ 原子力災害からの復興再生

(ア) 原子力災害関係の事業の執行状況 a 原子力災害関係経費の執行状況

集中復興期間における原子力災害関係経費の支出済額計3兆1334億余円のうち、 特措法3事業に係る支出済額が1兆8227億余円と全体の58.1%を占めていて、そ の大部分は汚染土壌等の除染等の費用の1兆6337億余円となっている。そして、 除染等による放射線量の低減対策に係る事業全体の支出は1兆8698億余円に上り、 原子力災害関係経費の59.6%を占めている。

b 原子力災害関係経費以外の経費で実施している放射線量の低減対策に係る事 業の執行状況

集中復興期間において、地方公共団体が単独事業として実施している表土の 改善等の放射線量の低減対策に係る事業費に対して算定された震災復興特別交 付税は7県138市町村の計54億余円、特別交付税は6府県177市町村の計14億余円 となっている。また、農林水産省所管の東日本大震災農業生産対策交付金によ り実施された放射性物質の吸収抑制対策に係る事業費の総額は計61億余円とな っている。

(20)

a 汚染土壌等の除染等の実施状況

除染特別地域における汚染土壌等の除染等を総合的かつ計画的に講ずるため の特別地域内除染実施計画に基づく除染等の措置の状況をみると、7市町村では 28年3月までに終了しており、4市町村では29年3月までに終了するよう実施して いる。集中復興期間において除染特別地域で実施された汚染土壌等の除染等に 係る支出済額は計7850億余円となっている。また、27年度末現在の除染特別地 域における除染等の措置により生じた除去土壌及び除染廃棄物(以下「除去土 壌等」という。)の仮置場等の箇所数及び保管量は264か所、596万㎥となって おり、仮置場等から中間貯蔵施設等に搬出した保管量は44万㎥(仮置場等の保 管量の7.4%)となっている。

汚染状況重点調査地域に指定された市町村の状況についてみると、福島県管 内で汚染状況重点調査地域に指定された39市町村のうち36市町村が、また、福 島県以外の7県管内で汚染状況重点調査地域に指定された58市町村のうち57市町 村が、それぞれ除染実施計画を策定して、同計画に基づき除染等の措置を実施 している。そして、集中復興期間においてこれらの地域で実施された汚染土壌 等の除染等に係る支出済額の合計は8475億余円となっている。

福島県管内の汚染状況重点調査地域における除去土壌等の保管箇所及び保管 量は、27年度末現在、除染した現場と仮置場の合計で142,161か所、518万㎥で あるのに対して、除去土壌等の仮置場等から中間貯蔵施設等への輸送量は現状 ではまだ僅かな状況である。そして、除去土壌等の仮置場等における保管のた め集中復興期間に要した維持管理費は、32市町村で計95億余円となっており、 これらの維持管理費は、除去土壌等の中間貯蔵施設等への輸送が進み、同施設 等において集中管理することにより逓減することが期待されるが、同施設等へ の輸送が進まない場合、長期にわたり発生し続けることになる。仮置場の設置 箇所についてみると、市町村が定める津波の浸水区域に仮置場が設置されてい るため、除去土壌等が搬出されるまでの間、比較的頻度の高い一定程度の津波 高を超える津波等の災害の発生時には保管した除去土壌等が流出し、除染等の 措置による効果が減少するおそれが継続する状況となっているものが見受けら れた。

(21)

27年度末現在の対策地域内における災害廃棄物等の処理状況をみると、推定 量(帰還困難区域を除く。)116.6万tに対して、仮置場等への搬入量は81.6

(注4)

万tとなっている。また、搬入実施率が30%未満となっているのは3町村となっ ている。 そして、福島県を含む12都県に保管されている指定廃棄物(放射能濃 度が8,000㏃/㎏を超え、特別な管理が必要な程度に汚染されたものとして環境 大臣が指定した廃棄物。以下同じ。)の数量は、27年度末現在17.2万tとなっ ている。

放射性物質に汚染された廃棄物のうち農林業系廃棄物等についてみると、国 や都道府県の指示・要請等で利用できなくなった結果、一般廃棄物等となり、 市場に流通させずに保管されているものなどが10道県管内で計27.5万tとなっ ており、既存の焼却処理施設の能力が不足していることなどから減容化が進ん でおらず、一時集積所の容量も不足していることなどから、各農家等で一時保 管されている状況となっている。また、クリーンセンター等で焼却処理を行い 焼却灰となった廃棄物は5県管内で計17.4万tとなっていて、これは引き続きク リーンセンター等に保管されているものである。

(注4) 帰還困難区域 避難指示区域のうち、平成24年3月時点での空間線量率 から推定された年間積算線量が50m㏜を超えていて、事故後6年間を 経過してもなお年間積算線量が20m㏜を下回らないおそれがある地域 c 中間貯蔵施設事業の実施状況

中間貯蔵施設に係る用地取得の状況をみると、環境省は、27年度末現在、当 該用地の登記簿上の約2,400人の地権者(面積約1,600ha)のうち連絡先を把握 している約1,480人(同約1,450ha)に連絡するなどしているが、土地の売買契 約等の成立件数は83件(同約22ha)にとどまっている。

(22)

(ウ) 原子力災害関係経費の求償の状況

特措法3事業については、集中復興期間における事業実施済額の計1兆5607億余 円に対して、28年10月末現在の求償額は計1兆1932億余円、東京電力の支払額は計 5062億余円となっている。また、放射性物質汚染対処特措法が施行される前から 緊急的に実施されていた内閣府所管の「東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電 所の事故により放出された放射性物質の除染事業等」(以下「緊急実施除染事 業」という。)については、集中復興期間における事業実施済額の計2098億余円 に対して、28年10月末現在の求償額は計745億余円、支払額は計418億余円となっ ている。

3 検査の結果に対する所見

東日本大震災は、被災地域が極めて広範囲にわたる大規模なものであるとともに、地 震、津波、原子力災害による複合的な未曽有の大災害である。

復興基本方針等で定めた23年度から27年度までの集中復興期間において、国は、東日 本大震災からの復旧・復興のために、既存の制度の見直し、財政支援、自由度の高い交 付金の創設等様々な施策をその総力を挙げて取り組んできた。

集中復興期間において、国は、総額27兆6231億余円を支出した。そして、これに対す る財源を、49年12月までの長期にわたって確保される復興特別税(復興特別所得税等) や歳出削減等により賄うとしているが、他方、多額の費用が限られた期間に生ずること から、事業の実施に当たり不足する資金を確保するために復興債等を発行している。ま た、復興予算の計上及び執行に当たり、各事業が被災地及び被災者の復興に真に必要か つ有効なものとなっているかなどの視点から議論がなされたことから、国は、復興予算 について、不適切な使用であるなどの批判を招くことがないように使途を厳格化するな どの取組も行ってきた。

こうした国の取組や復旧・復興事業を中心となって実施する地方公共団体の総力を挙 げての取組により、集中復興期間が終了した現在、事業の進捗とともにその成果も見受 けられる一方、防潮堤やまちづくりなどに係る事業において、膨大な事業量や事業の実 施に伴う地域住民、関係機関との調整や他事業との調整等の様々な困難から、被災者が ひ益するに至っていないものも依然として見受けられる。

(23)

復旧・復興事業について、28年度以降も多くの事業が一刻も早い完了を目指して実施 されているところであり、国は、地震・津波被災地域を中心に事業完了に向けた見通し が立ちつつあることを踏まえて、28年度以降の復興支援については、被災地の自立につ ながるものとしていく必要があるとし、28年度からの5年間を被災地の自立につながり、 地方創生のモデルとなるような復興を実現していく観点から「復興・創生期間」と位置 付けた。そして、復興・創生期間において、全国に共通する課題への対応という性質を 併せ持つ事業については被災した地方公共団体においても一定の負担を行いつつ、国は、 復興の新たなステージに応じた切れ目のない被災者支援を行うとともに、次なる災害に 備えたすまいの再建や復興まちづくりなどを着実に進めるとしている。

ついては、復興庁及び関係府省等は連携して、国及び地方公共団体が行う施策が復興 基本法に定める基本理念に即して更なる復旧・復興の進展につながるよう、今後も引き 続き次の点に留意するなどして、復興施策の推進及び支援に適切に取り組む必要がある。 ア 復興・創生期間における復旧・復興事業について、国は、特定被災自治体等との緊

密な連絡調整を行うことなどにより事業が迅速に実施されるようにするとともに、集 中復興期間の各種事業の実績を踏まえて、円滑に実施されるように努めること イ 国庫補助金等を交付して実施している事業について、国は、特定被災自治体の意向

や要望、被災者の生活再建の見通しなどを十分に把握して、情報提供、助言その他の 着実な執行に向けた取組を行っていくこと。また、復興関連基金事業について、国は、 基金団体と十分に連携して適切な基金の執行管理を行うとともに、使用見込みのない 余剰金等が生じている場合には、これを国庫に返納することを要請するなど、資金が 適切かつ有効に活用されるよう努めること。特に、余剰金等の返納に当たっては、国 庫補助金等が復興基本方針に定める復興財源を原資としていることに留意し、適正を 期すること

(24)

えて第15回及び第16回の配分を見送ることとしたものの、過年度の交付可能額の通知 時において当時の制度要綱で定められた上限額を超えて交付可能額が算定されている 事態も見受けられることから、制度要綱の適正な運用についても留意すること エ 津波防災に関する復旧・復興事業の実施について、国は、復興基本方針において、

被災しても人命が失われないことを最重視するとされていることなどを踏まえて、経 済性及び効率性にも十分に配慮して、防潮堤等の各種施設や市街地の整備等の施策に 関する助言等を着実に実施していくとともに、住民等の適切な避難を確保するための 施策についても早期に適切な実施が図られるよう努めること。また、津波防災に関す る事業の成果が確実にあがるよう努めること

オ 復興交付金事業等による住宅の供給等について、国は、空室及び空き区画の解消等 に向けた助言等に努めること。災害公営住宅整備事業等において、各事業主体が空室 の解消のための対策を講じてもなお空室が解消されないことが見込まれ、災害発生か ら3年を待たずして早期に当該災害公営住宅を有効活用しようとする場合には、一般向 け公営住宅としての貸与等を行うことを可能とするなどの対策について検討すること。 また、被災地の自立につながることを念頭に、地域経済活動の再生に関する事業の成 果が確実にあがるよう努めること

カ 原子力災害からの復興再生のうち除染等の措置について、国は、除去土壌等が仮置 場等に長期間保管されていて多額の維持管理費が発生するなどしていることを踏まえ て、除去土壌等の保管場所である中間貯蔵施設の整備の促進に努めること。また、汚 染廃棄物処理事業について、農林業系廃棄物等が各農家等に保管されていて大きな負 担となっていることを踏まえて、仮設焼却施設の設置等による減容化等、汚染廃棄物 の処理の促進に努めること。さらに、特措法3事業及び緊急実施除染事業に係る事業費 について、放射性物質汚染対処特措法等に基づき関係原子力事業者が賠償すべき損害 に係る賠償金が東京電力から確実に支払われるよう、求償を適切に行っていくこと キ 国は、集中復興期間に実施された復旧・復興事業に係る課題やその解決策等に関す

る事例等の情報を蓄積して整理し、復興・創生期間に実施される事業に反映するとと もに、今後想定される災害からの復旧・復興事業に活用していくこと

(25)

の状況とともに、復興等の各種施策及び支援事業の実施状況として、復旧・復興予算の 執行状況、被害の大きかった東北3県を中心に復旧・復興事業の実施状況や復旧・復興事 業の成果の状況、原子力災害からの復興再生の状況等を分析して、計5回にわたり報告し た。

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